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病院機能評価についてー駒木野病院の話から考える

東京地業研 山本則昭

 5年前に地業研と人権センターが病院訪問調査を申し入れたときの病院の断りの理由の中に「うちは病院機能評価を受けているから訪問調査を受ける必要はない」というものがあった。その病院機能評価を駒木野病院は受けたという。地業研の公開勉強会として、駒木野病院の事務長の神マチさんに来ていただいてお話を伺った。なお、駒木野病院は、病院訪問調査にも協力している。
日本医療機能評価機構は、病院の第三者評価による医療の向上を目的として、厚生省、日本医師会、日本看護協会などが出資して1995年に設立された財団法人である。その主な事業が病院機能評価である。これに合格すると認定証が発行され、認定シンボルマークの使用が許可される。認定は5年の有期。
病院機能評価の審査は病院自らが記入する書面審査と、「サーベイヤー」と呼ばれる審査員による訪問審査が行われる。サーベイヤーは、医師、看護士、事務などで研修を受けた人たち。評価項目は「病院組織の運営と地域における役割」「患者の権利と安全の確保」など7項目で、更に各項目が枝分かれして全部で136項目もある。そして神さんによればサーベイヤーの審査の目が極めて厳しいという。全国9187病院中認定病院は1331病院(14.5%)。合格率は3割に満たないという。都内の精神病院の中で認定を受けたのは駒木野病院を含めて6病院。平川、高月、吉祥寺、薫風会山田、東京武蔵野の各病院である。また、審査を受けるには多額のお金がかかる。精神病院の場合120~200万円(病床数によって違う)だが、予備審査を受けると約70万円が更にかかる。そして、駒木野病院の場合、今回の審査を受けるに際して病棟の改築など多額なお金をかけて改善を図ったという。
神さんは、審査を受けたのは経営戦略だけの意味ではないという。むしろお金を出すから効果があるのだと。必死になって自己検証をし、第三者の厳しい評価を受け改善に取り組むことが出来たと。サーベイヤーは例えば金銭の自己管理率が低いと指摘する、以前食事の出し入れのために使っていた保護室の扉の穴をふさぐよう指摘される、果てはトイレットペーパーを入れるのにお菓子の箱を「お客様としての患者様に失礼だ」と替えさせる、など。そしてすぐにそれらの改善を要求する。指摘があるごとに院内で議論をした。神さんは、ただ厳しい審査を一方的に受け入れたのではなく、疑問に思ったことはサーベイヤーと議論したという。神さんのお話からは、駒木野病院が審査にまじめに取り組み現場の改善に努力した様子が伝わってきた。
一方この制度への疑問はいくつかある。税金を投入した事業でありながら、認定結果の公表はされない(病院任せ)ということだ。また、多くのお金とエネルギーが要るので一部の病院にとってのものだけになるだろうということ。つまり、一部のエリート?病院を作ることにはなるが、医療消費者にとって病院を選択するのに必要な情報は提供されないと感じた。
さて、病院機能評価そのもののことはこれくらいにして、私が神さんの話しを聞いて感じたのは、現場職員として第三者の評価、批判を受け入れることの大切さだ。病院に限らず、診療所や医療以外の場も同様
だ。第三者が同業者であれ、対象当事者であれ、「ど素人」であれ同様だ。他人の目にさらされること、他人に自分が何をしているかを伝えられること、投げかけられた疑問に仲間内だけに分かる言葉でなくちゃんと答えられることが大切だと思う。どこの現場も多かれ少なかれ変てこなことはあると思うが、そうした意識や意識を実効化しうる仕組みを持たない現場は変てこさに埋没して腐ってしまうだろう。第三者評価のありようもいろいろあっていいし、むしろいろいろあることのほうが健全だろう。病院機能評価もいいが、精神病院も、病院訪問調査のような何の権威もない第三者評価ももっと受け入れていただけないものだろうか。時間と手間はかかるが、何しろただなんだし、やりようによっては自己検証や宣伝にもなると思うんだけど、どうだろう。

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