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救護施設あかつきにおける近況について

あかつき地域生活支援係勤務 大櫛重光


十数年前、ピチピチの新任職員として社会復帰係に配属され、その後施設内の全てのフロアをひと通り異動して勤務し、昨年、名称も新たにした「地域生活支援係」に戻ってきました。

 この間個人的には、地域ではなく「職域」における精神保健の分野での仕事に比重があり、職場でも職員研修担当(新任職員研修・スーパーバイザー養成研修などの職階層別研修その他)や、労働安全衛生の実務担当(衛生管理者)の立場から、援助者である職員自身がくたばってしまわず、より良いサービス提供ができるための側面からのサポートに従事してきました。
 よって今回久しぶりに 「地域」 に関するレポートを書いているという現状です。

 さて、あかつきにおける地域生活支援の現状ですが、対象となっている方は、主にあかつきを退所され地域生活を送っている方で、小平市、東大和市、立川市在住の方が多いのですが、近年では長らく音信不通だった、やや遠方の方が、高齢・傷病・孤独といった理由などで急遽、アフターケアを求められるというケースも何件か出てきています。
 
 そのような中、我々も積極的に傍聴に参加している厚生労働省・社会保障審議会福祉部会に設置された「生活保護制度在り方に関する専門委員会」の議論に、職能団体である全国救護施設協議会を経由する形で我々の考え方を反映させようとしていますが、何分、精神障害に関する理解や、地域生活支援を本腰で考えている救護施設がまだ少なく、地方の救護施設で一部積極的な施設もありますが、求める内容が地域性によって相当異なり、例えば、あかつきでは東京23区内から入所されるケースが多いのですが、社会復帰の際はあかつき周辺を希望される方が多いことから、どうしても三多摩地域の自治体が財政困難をしきりに訴え、できるだけ元の自治体所在地(23区)に戻って社会復帰を促して欲しい、といった要望が出てくるわけですが、一方、地方では施設を退所する方自体がいないとか、通所する交通手段がそもそも無く通えない、といった地域性の違いがあり、全国版で集約することは困難で、むしろ違いを主張することの方が有意義といった現状です。

 なお厚労省・保護課は昨年、これまでの救護施設通所事業を「保護施設」通所事業と改正し、更生施設にも通所事業を求めたり、今年度の重点項目として、精神障害者とホームレス問題の2点を挙げ、うち救護施設関係では「サテライト型救護施設」「居宅生活訓練事業」「退院者等居宅生活支援事業」など新たな目玉事業を創設しました。いずれも「精神障害」の方への支援をかなり想定して作られており、ある意味で画期的なものではないかと思っています。

 その具体的な中身として、まず「サテライト型救護施設」に関しては、本体施設の設備の兼用も可とし、施設入所の受け入れ人数を減らすことなく、現在の入所者の一部がサテライトに引越しすることで、現在ほとんどが4人部屋である今の居室を、2人部屋あるいは完全個室として利用できたり、未だはっきりと決まっていませんが、あかつき近くのアパートをサテライトとして認可してもらえれば、あかつき在籍のまま「居室替え」というより気楽な感覚で、より地域に近い生活が出来るというメリットも生まれてくるのではないかという希望を持っているところです。

 「居宅生活訓練事業」では、現在、あかつき内に「地域生活体験室」という、以前は社会復帰訓練室と呼んでいた2人部屋が複数ありますが、これを全く「外部化」させる形で運用していこうというもので、本体施設に近接したアパート、借家等のより居宅生活に近い環境で、地域生活に向けた準備・体験が可能となるというものです。この事業に常駐職員は不要の予定で、緊急時対応のための電話設備の設置を代わりに義務付けする方向のようです。

 さらに「退院者等居宅生活支援事業」では、精神保健福祉施策における「退院促進事業」に対する、生活保護施策バージョンでの受け入れ態勢を整備していこうといった感じのもので、家事・服薬援助・地域住民との交流・創作活動・軽作業の場の提供等といった、これも既にあかつきでは実施している内容ばかりではありますが、他と異なりこの事業は施設の所在する「市区町村」の承諾と拠出が無いと、都や国もお金を出さないといった、いわゆるありがちな補助金事業であり、われわれとしては少し使いづらい事業となっています。

 いずれにしても東京で唯一「精神障害」の方を主に専門として対象としている「救護施設」として、随時、あかつきが果たすべき機能・役割とは何かを、広い視野から検討し実践していかなければならないと考えているところです。

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