« 国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設をつくらせない5・22集会 | トップページ | 第18回東京精神医療人権センター総会報告 »

コーディネーター日記

東京精神医療人権センター  小林信子


 2004年ももう半分過ぎてしまいました。
体調を悪くさせる梅雨の季節ですが、いかがお過ごしでしょうか。「コーディネーター日記」を書けという指令ですが「センター」はこの間何をしてきたのか・・考え込んでいます。緊急事態は起きていず、力量に合った淡々とした活動でした。
でも国際、国内社会は大変動、地殻変動が起きているから、それに煽られてうつ的だったような気がします。
 イラクにおける3人の人質事件と週間文春の記事差し止め事件に触発されて思いをめぐらせたことがありました。
 人質事件で出てきた、3人へ向けられた日本社会の妬み・嫉みとフラストレーションには心が凍りました。これらは、犯罪を起こした精神障害者へ向けられるものとそっくりな構造があります。さらに、「自己責任」論が出てきましたね。自己責任というけれど、国家というものは国民を護る義務がある。まあ、在留邦人の多くは、何かあったら日本国政府が自分を護ってくれるとは思ってないでしょうが、国家の義務があるから、パレンス・パトリエ(国父的保護主義)によって、自己決定権を奪われて、意思に反した入院、つまり措置入院をされる人々ー精神障害者がいるのです。人道的活動をしている日本人を危険な事態に巻き込んだ政府の責任は不問。すごく頭にきました。そんなに自己責任というなら、整合性を持つために措置入院は廃止しろ!と一人で叫んでいました。
 最近、日精協の有力者で諮問委員にもたびたび登場して横車を押しているせのがわ病院(広島)津久江一郎院長所有で、自らも乗り込んだプレジャーボートが、呉から小笠原経由でサイパンに向かう途中南硫黄島付近で座礁し、海上保安庁に救助を求めたという記事がありました。この場合遊びに行ったのだし、金持ちだから自己責任を果たし、税金を使う公的救助などしないほうがいいのではないか・・・という意見はないのかしら。(八つ当たりでしょうか)
 「週間文春」の田中真紀子さんの娘の記事自体にどうのこうのという元気はありません。知る権利とプライバシーの権利の相克です。これが憲法に共に明記されているからどちらが優先というか、常に混乱があるとさる識者もいっていました。私達がよく聞くのは、精神障害者の人権擁護の基本の「面会」を妨害する口実として“患者のプライバシーを護る”という憲法の引用?です。でも精神病院の場合多くは、医療者が患者本人に成り代わって勝手に“プライバシー”を判断しているから、先の議論とは似て非なるものなのだけれど、あまりにも堂々と主張されると唖然としてしまいます。ひどい例では患者本人が望んでいても「家族がプライバシーを侵害されるから、他人は面会できない」と主治医に珍説を展開されたこともありました。言葉だけが独り歩きして都合よく使われ、同時にその概念も情報化時代とともに変化をしてくるのが「プライバシーの権利」と「知る権利」ではないかとチョッと考える機会になりました。
 松沢病院定期訪問は今までどおり行っています。D-44棟は4月から病棟担当医が替わりました。松沢病院には新任の医師で、初顔合わせのご挨拶をしました。どうぞ前任者のように1年余で替わるのではなく、じっくりと患者さんに向き合って治療して下さいとお願いしました。こちらも初心に戻って関わろうと思いました。
 良いニュースとしては、埼玉県の狭山ヶ丘病院で、17年間一切外出もないまま閉鎖病棟に入院させられていた患者さんが埼玉県弁護士会人権擁護委員会に属する弁護士さんの3年越しの熱心な努力によって、3月中旬に県内の開放的な病院に転院することが出来ました。その後1ヶ月半ほどして面会に言ったら、同一人物とは思えないほど笑顔が出て、動きもしっかりとしていて一緒に散歩を楽しみました。その病院は1部屋8人でベッド生活(仕切りカーテンはあり)という現在では決して心地よい環境ではないのですが、にぎやかで明るい雰囲気の病棟でした。近くまで買い物に行くという彼女と一緒にバスに乗り合わせた私は、楽しそうに同行の友人とおしゃべりする彼女を眺めながら、閉鎖処遇の犯罪性を改めて思い知らされました。現在彼女は、退院に向けて援護寮への申し込みに意欲的です。
 最後に、「センター」は年々資金繰りが悪化の一途です。活動維持のため皆さまのカンパをお願いいたします。

振込み先:郵便振替
     00170-6-5131
      東京精神医療人権センター

|

« 国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設をつくらせない5・22集会 | トップページ | 第18回東京精神医療人権センター総会報告 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19973/1869286

この記事へのトラックバック一覧です: コーディネーター日記:

« 国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設をつくらせない5・22集会 | トップページ | 第18回東京精神医療人権センター総会報告 »