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進め“あうん”

あうん手伝い 小林正士

“あうん”の設立からおよそ1年半がたちました。そもそも“あうん”設立の趣旨というのは、野宿者(ホームレス)・生活保護受給者など様々な理由による生活困窮者が、より活き活きと自立した生活を送れるよう、古着・雑貨のリサイクルや、便利屋など、「当事者の手による、当事者のための仕事おこし」であります。現在、“あうん”のスタッフは寮生活1人、アパート暮らし3人(内生活保護2人)、支援2人の併せて6人です。そして主に、「便利屋あうん」を中心に仕事を行っている数名の隅田川のテントの仲間達が関わっています。
 野宿者は、当然ながらはじめから野宿していたわけではありません。以前は普通に仕事に就き生活していた人がほとんどです。それが突然、何らかの理由で仕事を失い、住居を失い野宿に至ってしまうことがあります。たとえば建設現場で働いていたが、不景気で仕事が減ってしまい食べていけなくなる。そして仮に住み込みの仕事であった場合、仕事を失うと同時に住む場所も失ってしまいます。そのようなことで一度、野宿状態に陥ってしまうと本人の努力だけではなかなかそこから脱出するのは困難となります。仕事を探すにも年齢制限の壁や住所が必要であったりして、思うように仕事に就くことができないのが現実です。
 しかしながら仕事の経験はあり、働く意欲もあり、働く能力、技術を持っているのに働ける場所がない。それならば働く場所それ自体を自分たちでつくり、そのような場所を広げていこうという取り組みを“あうん”では行っています。
 リサイクルショップあうんでは、今では毎日来る常連のお客さんも増え、フィリピン、韓国、バングラディシュ等、国際色豊かで、特にフィリピンから来ている女の子達は、昼休みや日曜日に毎日来てくれます。お店の中でお客さん同士仲良くなったりと、色々な交流が始まっています。「あうんは大人の駄菓子屋さんなのよね」これはあるお客さんの言葉です。何があるかワクワクする。いろんな出会いがあり、集える場、それが“あうん”なのだそうです。地域の人達に“あうん”の存在意義を認知してもらえたことはとても嬉しいことです。
 また、あるお客さんが「○○さん元気?」とスタッフの元気な顔を見にお店に足を運んでくれるという話があり、続いてそのスタッフが「そういう人が一人でもいてくれることはとても嬉しいことだよね」と話していました。
 昨年7月からは、新事業として「便利屋あうん」がスタートしました。その出発点として私達が着目したのは、福祉事務所ルートの仕事です。私達はこれまで多くの野宿者と関わってきたことの結果として、多くの元野宿の生活保護受給者とも関わりがあります。その中でわかってきたことですが、生活保護の人が引っ越したり、施設に移るためにアパートを引き払ったりする時には、生活保護費の中から「移送費」といった類の費用が出ます。この時の引っ越し作業は、福祉事務所に出入りしている業者が委託を受けて行ってきましたが、これを「一般業者に委託するのではなく、野宿者や生活保護受給者のための就労支援に活用してほしい」と福祉事務所に依頼したわけです。今では福祉事務所からの依頼も増え始め、同時に地域からの仕事の依頼も徐々に来るようになりました。それまでのリサイクルショップあうんでは、接客、販売が主な仕事であるのに対して、便利屋あうんでは引っ越しや引き払いが中心なので、皆気合い、力が入り、汗を流しながら作業を進めます。そんな皆の姿は本当に眩しく輝いています。
 今後も“あうん”では、仲間と仲間のつながりを深めながら、当事者の手による働く場所の開拓、自分たちの手による仕事おこしに取り組んでいき、さらにそれを広げ
たいと考えております。私達の活動を今後とも是非よろしくお願いいたします。

<あうんからのお願い>
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