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支援ネット・病院訪問

通所授産施設「明和荘タイムス」 通所者 北岡 久

 長期入院問題への関心が高まっているようである。
 これに対応してというわけではないが、町田精神保健福祉支援ネットワーク(略称支援ネット)でも、この問題への取り組みを活動の重要な柱として行っている。支援ネットは町田市内の精神保健福祉関係の施設(授産施設、作業所)関係者および利用者によって構成されており、「町田」と付いているが、べつに市が運営しているわけではない。だが、市内の社会福祉協議会から助成金を受けているし(他の福祉財団からも助成金を受けている)、月1回の定例会には市役所の福祉課から出席があったりするし、正式発足の時には来賓として来て頂いた。また病院関係者とも直接的ではないが、協力関係を結んでいる。
 長期入院問題への具体的な取り組みとしては、まず、地域での生活を伝えるための小冊子製作。地域で暮らしている人達へのアンケート、生活していく際に必要な関係機関の一覧、場所を示した地図等で構成されている。アンケートの質問内容は「入院体験について」「退院時の不安や戸惑い、悩んだこと」「退院後の生活(金銭面について、病状について、地域の良いところ)」。施設利用者(作業所利用者)に対するアンケートなので、「施設の良い点、悪い点」「将来について」という内容である。入院者が読んだら気を悪くするだろうというものや、単に「ある」「ない」式の答えもあるのだが、当事者-支援ネットではこう言い表している-の率直な声だということで、そのまま載せている。詳しいことは、私は知らないが、編集の手を入れていないことがかえって高い関心を呼んでいるようである。希望者には販売もしている。
 第二は小冊子を持っての病院訪問。これは単なる配布ではなく、小冊子の紹介でもなく、もっと直接的に入院者と会って話をし、交流を持とうというものである。ここでもやはり当事者自身の口からということで考えがまとまっている。当事者の言葉として、入院時、退院時、現在の地域での生活-良いところや、悩みも含めて-を入院者に対して話してもらい、それによって病院以外の生活を知ってもらう。一病院につき当事者が4~5人、関係者が2~3人でチームを作る。既にシュミレーションを重ね、検討されたが、病院の悪口大会にならないように-入院者はそれを聞いて溜飲を下げるかもしれないが-配慮することや、できるだけ当事者中心にすることが確認された。病院側には快く協力してもらっている。この病院訪問の具体的な進め方であるが、当事者の話以外に支援ネット・小冊子の説明、作業所とはどのような場なのかという話等が予定されているが、明確に決まっているわけではない。私の考えでは、支援ネットや小冊子の説明は簡単に終えて、作業所やグループホームについても、やはり当事者の話として語ってもらった方がいいと思うが、その場の状況によるだろう。こればかりは回数を重ねなければわからない(作業所やグループホームをよく知らない人に説明するのは案外難しいのである)。
 2月10日に最初の病院訪問を終えた。場所は病院内の食事をしたり、テレビが置いてあったりする広いホールであった。看護部長、看護師長が同席していた。ケースワーカーが居なかったのは意外であった(居たかもしれないが、私には目につかなかった)出席者は17人、それ以外にホールに4~5人居た。訪問後の感想は、入院者の出席の数が多いと、こちらの話が全体に届いているか不安に感じる、ということである。こちらも10人居たのだが、向こうの数はずっと多く感じられた。それくらい距離を感じたということである。横長のテーブルに一列同士向かい合わせに座っていたのだが、端の方で近くの者同士、話が始まってしまい、何の話をしているのかよくわからないまま進んでしまうので、結局テーブルを二つに分ける格好で質疑応答などを進めなければならなかった(それでも「交流」できたといえば言えるのかもしれないが)。時間は一時間半ぐらいだったと思う。一病院に訪問を重ねていくことが計画されているので-病院側もそう希望していた-一回につき人数を絞り込んでいった方が「親密さ」-こんな言葉が適切かどうかわからないが-が出るのではないかという印象である。
病院訪問の時期は、いつ頃になるのかなかなかメドがたたなかったが、ここのところ相次いで予定していた病院の訪問の日程が決まってきた。病院側が積極的に協力している証だろう。後は、こちらの当事者の動きがどうなるかだが、現在のところは関係者側の後押しによるのだろうが、チームはできあがってきている(といってもまだ「予定」の段階だが)。振り返りをおこない、反省点をふまえながら、今後積み重ねていく考えである。まだまだ一歩を踏み出したばかりというところであろう。

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