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グループホーム空き室の活用

グループホーム・アートリングパート2(東京都立川市)世話人 高田真澄

 グループホームで借り上げているアパートの一室を、しばらくの間家賃なしで借りられることになったのが六年前のこと。グループホーム世話人一年生の我が身においては、入居者への対応で手一杯のありさまで、依存症の自助グループであるAA、NAへの定期的会場貸し出しをしてきたくらいであった。

 精神障害の方への住居の提供と支援をするというグループホーム世話人の仕事は、私としては、本人の抱える困難や生きづらさをともに整理することと考え仕事をしてきた。生活の場での支援である。食べて出すこと、医療とのつながりを基本とし、何
がどのように困難なのかという点を明らかにし、整理をし、方策をともに考えていくということである。そのように仕事をしていく中で、長期にわたり入院せざるを得ない方々の現実を知るようになった。地域の側でできることは何だろう、グループホームとしてできることは何だろうと考えて模索してきた。

 そんな時に、私の職場の属する法人でグループホーム・作業所として共通のことをやりたいという話し合いがあり、その家賃なしの一室「二○五号室」を使って、長期在院の外泊訓練をやろう!という声があがった。微力なため、また日常業務もあるため、はじめから大きな
ことはできないだろうが、少しずつ行動を起こそうということになった。

 院内で退院促進に取り組んでいる東京八王子市内の駒木野病院と連絡をとり、まず職員が互いに訪問しあった。そして一名の方が外泊訓練ということで「二○五号室」に一泊された。在院二十年の五十才代の男性である。とても好い印象をもたれて帰院。一ヶ月過ぎた今、二度目の外泊日の日程調整の段階である。その方の場合、信頼している妹さんが協力的で、一緒に宿泊されるという好条件があった。他の方の場合、サポートする人材の確保という問題があるが、現状ではボランティアでやって下さる方を集めるしかない。

 病院の中でも、その方に必要な支援は何なのかということは明らかになるに違いないが、暮らしてみての問題は暮らしてみないとわからないという思いがある。外泊を繰り返して、地域の側との関係を築いていく中で少しずつ見えてくるのではないか。市内の他の機関との連携も必要となるだろう。今私はこの事業をゆっくり丁寧に、検証を重ねながらしていきたいと思っている。

 この「二○五号室」の活用について、第一には長期在院の方の外泊訓練の場として考えたいところだが、口コミで知った病院、診療所のPSWから、家族関係、金銭トラブルなどの問題を抱えた方の緊急避難先として利用したいという申し込みが多く驚いている。都立多摩精神保健福祉センターのショートステイは、手続きに時間がかかることや待つ時間が長いこと、自分の地域から離れてしまうということがあり、地域からの緊急利用の要望は大きい。今後はショートステイ的利用についても実績を積むことになるのだろう。

 思えば二十数年前「地域で当たり前に暮らしたい」という一人の人に出会ったのが、今の私の原点である。身体障害の身で闘い半ばで逝った彼が生きていたら、良いアドバイスとパワーをくれただろうと思う。今、市内で頑張っている方々と、多くの精神障害の方々が、「当たり前に暮らせる」地域で、私自身も暮らしていきたいものである。

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