医療DXと私たちのプライバシー~電子カルテ・マイナ保険証の情報管理について~
【編集部から】前々号の「医療のDX化はバラ色の未来なのか」について、前号に黒岩堅さんの、「医療のDXと精神医療の交差点:バラ色の未来か、それとも新たな分断か」を掲載しましたが、よりシステムエンジニア視点の続編も届いています。編集会議で皆で読み合せましたが、「監査ログ」「操作ログ」「アクセスの粒度」などの単語にひっかかってしまい、何度読んでもちっとも理解できた感がしない私たち。そこで福冨一郎さんが私たちにもわかる解説文に直してくれ、紙のおりふれ通信にはそちらを掲載することにしました。そこでお知らせしたようにこのブログ版には黒岩さんの原文も、解説文につづけて掲載しています。
はじめに
医療がデジタル化(医療DX)する中で、私たちの個人情報、とくに医療情報がどのように管理されているかが大きな問題になっています。特に、「誰がいつ自分の情報を見たのか」を知ることができる「監査ログ(アクセス記録)」の仕組みが重要です。
ここでは、システムエンジニアの視点から、ポイントをわかりやすく説明します。
1.電子カルテの情報管理について
- 電子カルテとは
病院が患者さんの診療記録をコンピューターに保存しているものです。
- アクセスログ(監査ログ)とは
「誰が、いつ、どの端末から、どの患者さんの情報を見たか」を記録する仕組みのことです。
- 今の問題点
電子カルテを作っている会社(富士通、NECなど)はこのログ機能を付けていますが、病院ごとに実際の使い方がバラバラです。
つまり、記録はしているけど、患者さんが「誰が見たか」を確認できない場合もあります。
- 確認するには?
病院の「診療情報管理室」や「医療情報システム担当」などに、こんなふうに聞いてみましょう。「私の診療記録を誰が見たか(アクセスログ)は残っていますか?希望すれば見せてもらえますか?」
2.マイナ保険証を使った情報管理について
- マイナ保険証とは
マイナンバーカードを使って、保険証代わりにするものです。
- 自分の医療情報は見れるけど……
「マイナポータル」というインターネットサイトで、自分の薬や病名などを確認できます。
でも、医療機関の誰がその情報を見たかは、患者にはわからない仕組みになっています。
- 問い合わせ先
何か不安があれば、以下に問い合わせできます。
オンライン資格確認コールセンター(0120-95-0178)
マイナポータルのお問い合わせフォーム
3.これから求めたいこと
患者が「誰が見たか」を自分で確認できるようにしてほしい
医療者が情報を見た理由も記録するようにしてほしい
見せたくない情報を自分で選べる仕組みを作ってほしい
同意の記録や説明もきちんと残してほしい
まとめ
医療のデジタル化は便利になる一方で、患者である私たちのプライバシーが守られる仕組みがまだ十分ではありません。
電子カルテもマイナ保険証も、「患者が自分の情報をどう管理されているかを確認できる」ことがとても大切です。
心配な場合は、病院や厚生労働省、デジタル庁に確認することをおすすめします。
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